お知らせ
2015.10.30
第 3 回ノベラボグランプリ 結果発表!!
8 月に開催された第 3 回ノベラボグランプリ「ホラー・サスペンス」部門の結果を発表します! 応募総数 33 作品の中から、最優秀作品と最終候補作を合わせて 5 点選出いたしました。最優秀作品については、著者様とご相談の上、ディスカヴァーからの発売を予定しています。
最優秀作品
「妄目」 Larme/著 |
怖いと思うものが、黒く見えるらしい――。同窓会で耳にした噂。それをきっかけに、彩の生活は少しずつ色を変えていく。見てはいけない。見られてもいけない。あなたは目を離せますか。 |
●講評 「ホラー」小説として、ストーリー構成がよくできていた。短編であるが、リズムがあって、読者を引き込む力がある。また、単に「恐怖」だけでなく、主要人物らの狂気も最後に明かされるのはサスペンスとしても面白かった。「静」の怖さやスプーンの演出が前半から出てくると、より迫力が出てくるだろう。 |
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最終候補作品
「虚月に嗤うもの ~幕末陰聞~」 猛士/著 |
文久三年秋・・・・「八・一八の政変」により長州を中心とした攘夷派は京より一掃され、都は仮初の平穏を取り戻したかに見えた。そんな時、不逞浪士を追う新撰組 山南敬助が眼にしたものはなんとも猟奇的な殺しだった。 |
●講評 着想、キャラクター設定、ストーリーなど、総合的にレベルが高く、時代ファンタジーとして面白かったが、マンガやゲームなどで既視感のある展開で、オリジナリティが弱い。また、文章に重複が多く、少しくどいので、最初から最後まで見直してすっきりさせるとより読みやすくなると感じた。 |
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「月が殺して暦は死ぬ」 城門有美/著 |
十二月は暦を止めるために動き出した。まずは四月。耳障りな音を消そう。十二月が四月を葬り音は止む。もはや決められた言葉は無用。十二月は解き放たれ一月を討つ。八月は知る。嘘を重ねてきた己の過ちを。そして命をもって償うだろう。 |
●講評 ストーリー構成がよくできている反面、犯人がすぐ推測できてしまったのが残念。主人公の最後のセリフが印象的だったが、そこにつながる心情の変化がもっと丁寧に書かれていると、読者をより引き込むだろう。作品を通した暗い雰囲気、追い詰められている感覚がよかったが、結局「ホラー・サスペンス」とは違うように感じた。 |
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「人身御供(ひとみごくう)」 湧田束/著 |
山間の小さな村、狐集(こしわ)には、怪異である管狐(くだぎつね)に憑かれた人間を『クダモチ』と呼んで忌み嫌う風土が今でも残っていた。高校生の杜人がひと月前からつき合い始めた衛藤由宇は、その『クダモチ』と呼ばれる家の出身だった。管狐に固執する由宇は、クダモチを恐れる周囲の人間に対し容赦なく祟りの言葉を投げ掛け、次第に村を混乱に陥れていく。 |
●講評 血のつながり、不幸な出来事、呪い、狐など、「怖い話」のポイントは押さえられているのだが、ひとつひとつがあっさりしすぎていて、怖さが伝わってこなかった。村社会の怖さや人物の背景をもっと深めるとより迫力が増すだろう。描写力が高いので、読者に読み進ませる力があった。 |
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「ドメスティック・エマージェンシー」 中釜あゆむ/著 |
あなたの親は、本当にあなたを愛していますか。「なあ、お前。人を殺したくないか」。親に愛されるためにいい子を演じてきた江里子の前に、殺人鬼が現れる。彼との出会いは親に与えられた寂しさを殺人衝動へ変貌させてしまう。 |
●講評 続きが気になって読ませる力がある反面、いい話で終わってしまったので、今回のテーマである「ホラー・サスペンス」の観点では「怖さ」が足りなかった。「家庭の問題」は現実に起こっている事件の方がよほど怖いものがあるので、猟奇性や狂気を引き立てないと、このジャンルでは成立しないだろう。 |
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