小説 / 歴史・時代
完結 雷天
作品の長さ:15,614文字
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梅雨は8月に入っても開けなかった。
荘園の領主に食客として暮らしていた朝久は、同じ浪人の勘兵衛と共に剣術をしていた。勘兵衛は朝久に迷いがあるから弱いと称する。
朝久が村を散策している時、領主から呼び出しを受ける。
領主は10里程離れた村に書を渡す依頼を出す、
朝久は了承して翌日に荘園を出ていく。
山道で賊が絡んでいる女に遭遇してを助け、分かれ道まで同行する。
分かれ道に来ると、女は別れの不安から雨で体力を消耗している朝久を誘惑する。
朝久は拒否すると、女は小刀を出して無理矢理にでも行為を迫る。朝久は身の危険を感じ、刀を抜いて女を切る。客死したと称して遺族に渡すため、遺品の小刀を奪う。
分かれ道から先にある堂に入り、休んでいると散切りの男が訪ねてくる。
散切りの男は妻と合流するために村を出たと語り、行方を問うも、朝久は答える勇気がなかった。朝久が持っている小刀を見て、妻を知っていながら答えないのに気づいて切りかかる。
朝久は抵抗して散切りの男を切り捨て、刀を奪う。「女の誘惑に従っていれば、無駄に死者を出さずに済んだのにと後悔する。
分かれ道から別の道にある小屋に向かい、休む。
翌日は雨が止んでいた。
朝久は村に着いた。乙名に書を渡した際、夫婦を切り捨てて無用な犠牲を出したと話す。
乙名は刀を見ると、山の神に奉納した刀と同じだと言い、二人は山の神で強者から精と血を奪うために試したのだと話す。
朝久は乙名の言葉に疑問を覚える。
山に刀を返しに行けばいいと言い、山に向かう準備をする。
朝久の説を立証し、迷いを払うため、乙名と共に山に向かう。