小説 / 歴史・時代
完結 ハルノウタ
作品の長さ:62,764文字
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今思えば、それは大人になる直前の、
子供として過ごせる最後の春の日々だった……。
さて舞台は、1845年春。江戸末期の武蔵国多摩郡日野(現在の東京都日野市)から物語はスタートします。
日野の豪農(下働きの下男とかも居たらしい。裕福な農家です)、土方家の末っ子として1835年の5月5日に生まれた歳三君。
生まれてすぐ父親が亡くなり、6歳のころ母親も労咳で亡くしていますが、二番目の兄夫婦に引き取られて、生活には不自由することなく成長しています。
ただ、色々と思うところもあったのか、元々苛烈な性格でもあったのか……。
子供の頃はかなりの乱暴者だったようで、「バラガキ」などと近所の大人たちに言われていたようです。(触るとイバラのように、痛い子供という意味だそうです)
史実だと、数えの11歳で江戸に奉公に出されることになるのですが……。(これも諸説あって、一回目のこの奉公自体出されてないという話も)
奉公に出る直前、大人になる前の、無鉄砲で、無軌道で、夢が一杯あって。
それでいて、どこか切なくてほろ苦い、時代を駆け抜けた彼の、子供時代、最後の日々の妄想話です。
余り時代考証を行ってないので、事実と違うところは読み流していただければ。